
デキルバメンバーのさつまいもです。小三の長男と、年長の双子がおり、三人とも毎日家で過ごしています。
教科書を読み、問題を解くスタイルの「勉強」に取り組めない長男が、どうすれば少しでも学んで成長していけるか、悩んでいる時にデキルバを知り、入会しました。よろしくお願いします。
今、うちの子たちは学校に通っておらず、自宅学習もできていません。
特に算数は積み上げ式の科目なので、どうしても計算の反復練習が必要だと思うのですが、たまに足し算をすることはあっても継続的に取り組むことができません。
九九は覚える気がないので、かけ算・わり算に進めずいつまでも一年生レベルのまま。
こんな状況の我が子にどう算数を教えればいいのか途方に暮れていました…。
そんな中、なかッち先生に相談して教えてもらったのが「数の感覚の育て方」です。
「数の感覚」が算数の土台
「3ってこれくらい」「5は3より大きい」「2と2で4になる」――数の大きさや変化を直感的に感じる力。
この「数の感覚」があれば、まるで粘土をこねるように、数の塊を「くっつけたり」「ばらしたり」して、自然に計算ができるようになると言います。
私たちが数を扱う時、「3」という数字の背景には「●●●」のような対応する量のイメージもついてきます。この結びつきを「数量」と呼びます。この数量の感覚が伴っていない状態では計算や単位変換など様々な場面で困難さが生じてしまいます。
その困難さを実感できる方法として、日本LD学会の算数障害に関するパンフレットでは、数字の代わりに「いろはにほへと」を使った計算が紹介されています。い→1、ろ→2というふうに数字のように扱います。
それでは「に+は=」すぐにわかりますか?
一旦読むのをストップして、指折り数えつつ答えが何になるか考えてみてください。
「に」は、「い,ろ,は,に…」で4ですね。
「は」は、「い,ろ,は…」で3ですね。なので「に+は=」
「い,ろ,は,に,ほ,へ,と…」で「と」が答えです。
「3」にはあるけど「は」にはないもの。それが「数量」です。
※「数量感覚」は数と量が一致している感覚というニュアンスに近く、「数感覚」は数そのものを数式などを通して操作・処理する時の感覚というニュアンスの違いが若干あります。が、あまり細かく気にしなくても良いと思います。この記事では両者の区別が難しい箇所では「数の感覚」と表記しています。
参考:
日本LD学会『算数障害とは何か?』https://www.jald.or.jp/wp-content/themes/child/image/contents/study/report_research/research_committee.pdf
東北福祉大学 黄 淵熙『定型発達の子どもと算数につまずきのある子どもの数の感覚の比較』https://tfulib.repo.nii.ac.jp/record/2000005/files/pp.15-23%20%E9%BB%84%E6%B7%B5%E7%85%95.pdf
計算ドリルに取り組むのが難しくても、算数が苦手でも、まずは数の感覚を育てればいい。
これなら、うちの子にもできるかもしれないと思えました。
「数量感覚」は遊びで育つ
先生が紹介してくださったのは、家でもすぐにできるカードやブロックを使った「数を楽しく感じる遊び」です。
「数カード」を使った遊び
数カードを1枚選び、イラスト部分にあるイチゴや積み木のイラストをぱっと見せて何個あったかを聞きます。
すぐに答えて正解できればクリアという遊びです。
市販の数カードやデキルバのイラスト付き数カードを使うこともできます。
ブロックを使った遊び
ブロックの総数を一緒に確認した後、「How many blocks are in this cup?(カップの中のブロックなんこ?)」という掛け声と共に、ブロックの一部をカップの中に隠します。
机上に残ったブロックの数から隠れたブロックの数を当てる遊びです。
こうした遊びに対して、子どもたちは一生懸命考えて楽しそうに遊んでいました。
が、残念ながらそれでもすぐに飽きてしまい毎日継続的に取り組むことはできません…。
でも、決まった遊びができなくても日々の生活で数量感覚を意識することで育てる機会はたくさんあると感じられました。
知ることで「親の目線」が変わる
今までは、「2+3=?」と聞くと指を使って数えている子どもの姿や、「お菓子をみんなで分けると何個になる?」と聞いてお菓子を一個ずつ分けている姿を見ると、「計算して欲しいのに…」とがっかりしていました。
でも「数の感覚」の大切さを知ってからは、生活の中で一つひとつ実物を取り分けたり、指折り数えたりしている姿を見ると、「まさに今、数量を体感しているんだな」と思えるようになりました。
それに気づけたことで、ただ算数ができないと悩んでいた頃よりも私の心もずいぶん楽になりました。
算数だけでなく、理科でも社会でも、数字はあらゆる教科について回ります。
気温の変化、人口の推移、時間の経過、実験の結果──どれも「数」で説明されています。
数は、世界を整理し、理解するために人間が作った“ことば”のようなもの。
でも、数の意味がわからなければ、それらの説明はただの記号にしか見えません。
たとえば「10人に1人」と聞いたときに、10人はこれくらいで、そのうちの1人だから結構いるな、とイメージできること。
「0.5リットルの水を2本」と言われたときに、「合計1リットル」と自然にわかること。
そうした数の感覚が、あらゆる学びの土台になるのだと感じています。
子どもたちがいつか「学びたい」と心から思ったときに、自分で学びを深めていける力を持っていてほしい。
計算ドリルに取り組めない今、できることは、ものの数を見て「これくらい」「けっこう多い」と、数を体感することなんだと思います。
その小さな経験が、未来につながる確かな“学びの芽”になると信じています。
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勉強しない子向けの支援方法

なかッち|中道 貴洋
デキルバ主宰。夢中力クリエイター
塾講師、小学校教員、児童指導員を経て現在に至る。著書『苦手さのある子も夢中になる算数遊び&教材アイデア』『苦手さのある子も夢中になる国語遊び&教材アイデア』、寄稿『授業力&学級経営力2024年3月号』『特別支援教育の実践情報2025年5月号』、他講演多数。






