「小5の小数の割り算がワケワカラン」と連絡をもらった中道は、系統立てたレディネスの必要性や各ステップのつまずきポイントと支援方法を解説した動画をアップした!
しかし、動画の長さは異例の37分という大ボリュームに!
「そんな動画見てられっか!ていうか動画苦手なんだよね」という人のために記事で解説することになったぞ!
こちらがその解説動画▼
「37分も見てられっか」という方のための記事後編スタートです。
小数の割り算の学習支援(前編)のおさらい

① 小5算数「小数の割り算」では、割る数(÷の右側の値)が小数のパターンを学習します。小数÷整数のパターンは実が小4で学習済みです。
② 割り算を習得するには掛け算の習熟が必須。特に桁数の多いものが必要です。もちろん小数とは何かの理解も重要。
③ 小4で習った「割り算の筆算」をマスターしていて、筆算の手順が理解できているかも大事。そうした割り算学習を通して割り算の性質理解も必要です。
④ ここまでOKならまずは「整数÷小数」の簡単なパターンをやってみよう!商が元の数よりも大きくことへの違和感を納得できるかが鍵。
というわけでここまでOKだったらLv.2に進んでみよーーー!!!
Lv.2 小数÷小数のわり算
Lv.2では「0.57÷1.9」のような小数÷小数のパターンを学習します。
ここでもLv.1で登場した「被除数と除数をどちらも10倍したり100倍したりして整数÷整数の形にもっていく」という方法を使います。

0.57÷1.9 であれば、双方を10倍すると 5.7÷19 になります。これで小4で習った「小数÷整数」の形にできました。
さらに双方を10倍すると 57÷190 になります。これで整数÷整数の形になりましたね。これを筆算で計算すると商は0.3になります。
57cmのリボンを190等分したら1つ1つはめちゃくちゃ短くなって0.3cmになりますよね。正しく計算するだけでなく、このイメージと感覚を獲得することも重要です。
2問目3問目も同様に、「双方を何倍したら整数÷整数の形になるだろう?」と考えながら、式を変形させて計算していきます。
筆算かいてから整数化するか、整数にしてから筆算かくかは子どものやりやすい方でOK。
僕は写真右の方がオススメです▼

Lv.3 商を概数(がいすう)で表せ
Lv.2までクリアできたら内容理解としてはほぼOKなんですが、ラスボスとして商を概数で表したり余りを求めたりするパターンが登場します。
13546456 みたいな数を「ザックリ大体いくらか分かればええからもっと分かりやすく表したってーな」というもの。小4で学習し、「四捨五入」や「以上・以下・未満」という言葉が登場するよ。
📘 3.43÷2.4 の商を四捨五入で十分の一の位までの概数で表せ
こんな問題ですね。3.43÷2.4 は商が 1.42916666667 になります。書くの大変ですし、千億分の一の位の超極小世界まで正確に表す必要は日常生活ではあまりなさそうです。

「1.○」っていう桁数ぐらいまでわかってれば良きですよね。そこで四捨五入をします。
「1.○」という形にしたいのだから、四捨五入をするのはその1桁下の百分の一の位です。
1.42916666667 ←この2の部分ですね。
2は四捨五入すると切り捨てになるので、答えは「およそ1.4」となります。
数式では「=」ではなく「≒」を使って表記にしますが小学校では習いません。
3.43 ÷ 2.4 = 1.429…… 答え. 約1.4
みたいな書き方することがほとんどです。
個人的には、左辺に対して「=」で結ばれた右辺が正確な値で表記されてないのが気持ち悪いです。
さっさと「≒」教えりゃ良いのにって思うので僕の授業では説明をした上で「3.43 ÷ 2.4 ≒ 1.4」と書きます。
📘 6.51÷2.8 の商を1の位まで求め、余りも求めよ
お次はこんな問題です。余りが登場します。6.51mの木材を2.8mずつ切っていけば何本取れてどれだけ余るかを考えるような状況ですね🪵🪚

6.51 ÷ 2.8 を筆算で計算すると 2.325 となります。しかしここでは四捨五入もせず、十分の一の位以下は全て切り捨てて考えるわけですね。
じゃないと木材から板を切り出すときに「繰り上げで3本取れる!」なんて事は無理ですからね。どんなに頑張っても2本しか取れません。
さぁ、ここで余りはいくらかの扱いに注意が必要です!!!!!!!!
ここまで順調に計算してきたならば「6.51÷2.8」は「651÷280」と整数化して計算してるはずです!!すると余りが「91」になってしまいます!!
ここで「オーーーイオイオイオイオイオイ!そんなワケあるかい!」って思えるように、これまで「イメージや感覚を大切にしようね」と口酸っぱく伝えてきたんですね。
商を出す時には「整数÷整数」の形の方が考えやすので双方を100倍したのですが、余りの値は100で割ってあげる必要があります。
筆算であれば元の6.51の小数点の位置をそのまま下にズラしてきて余りに小数点をつければOKです!!

方程式を習っている大人はこの計算が正しいと理解できるのですが、「商はどちらも2で等しいのに、なぜ余りは100で割るんだ?」というのは直感的には理解しづらく子どもたちは混乱してしまいます。
方程式の話を軽くして納得できる子もいますが大多数は余計に混乱するので、はじめにお伝えしたように「6.51mの木材を2.8mずつ切っていけば何本取れてどれだけ余るかを考えるような状況🪵🪚」というのを再度イメージする方が納得しやすいかと思います。
あぁーーー大変だった。ここまでクリアできたら仕上げの文章題として下記のようなものが登場します。

図を書いて比例関係に気づけるかがポイントですね💡
比例に関しては小5でこの単元に入る前に学習してますので忘れてたらここで復習しようね。

教科書やドリルでは「二重線分図」というのが登場するのですが、比例関係を捉えづらくて子どもが混乱しやすいしので僕は使わないです。
しかしほんとにここの単元難しいんですよね。クリアするために必要なレディネスがたくさんあるんだと痛感できたかと思います。
復習やレディネスのチェックには下記の記事も参考にしてみてね▼
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小数の割り算に必要な力を育てる

なかッち|中道 貴洋
デキルバ主宰。夢中力クリエイター
塾講師、小学校教員、児童指導員を経て現在に至る。著書『苦手さのある子も夢中になる算数遊び&教材アイデア』『苦手さのある子も夢中になる国語遊び&教材アイデア』、寄稿『授業力&学級経営力2024年3月号』『特別支援教育の実践情報2025年5月号』、他講演多数。