✅ 数字は読めるのに、「5個ちょうだい」と言われるとすぐには反応できない。
✅ 10までは分かるのに、10より大きな数になると言い間違いや数え間違いが増える。
✅ 一見すると計算はできているけれど、その値がどれくらいの量なのかピンときていない。
こんな様子を見て、「算数が苦手なのかな…」と感じることがありませんか?
これらのつまずきは、「数の感覚の弱さ」が背景にあるかもしれません。
しかし、「数の感覚の弱さ」と言われても何のことだかピンと来ませんよね💦
算数の苦手な子の中には、計算や図形、文章題でつまずいているように見えても、実はそのもっと根本的な部分でつまずいている子がいるんです。
例えば次のようなつまずきです↓
✦ 数字の形と音がまだ一致していない。(例:2を「ご」、4を「しち」と読むなど)
✦ 数字と実際の数量が結びついていない。(例:6と9にどれぐらいの差があるかわからない)
✦ 数の合成・分解が上手くできない。(例:5は2と3、1と4で5のような理解が難しい)
✦ 位取りのルールがわかっていない。(例:1〜9と11〜19の順序のルールがわからない)
こうしたお子さんへの学習支援で大切なことは、
「数の感覚がないから簡単な問題しかできなくても仕方ない」
と考えることではなく
「この子はどこまでは分かっていて、どこから難しくなるのか?」
を探しながら、本人が少しの努力で達成できるラインを見極めながら徐々にステップアップを目指していくことです。
\まずは確認してみよう/
お子さんは何で困っていそう?
一言で「数」と言っても、たくさんの要素が含まれています。
・数字(形)
・数唱(音)
・数量(値)
・順序
・大小
・まとまり
・合成分解
・位取り
など、実にいろいろな側面があります。
お子さんの学習支援の方針を考える際は、いきなり教材に着手せず、まずは現在の状態から「どこでつまずいているんだろう?」と、立ち止まって考えてみましょう。
① 数字を読むことが苦手
✅ 数字を見ても読み方がすぐに出てこない。
✅「6」と「9」など似た数字で迷う。
✅「ご」と聞いても「5」を選ぶことが難しい。
この段階では、計算より先に数字の形と読み方を結びつける遊びから始めてみます。
② 数字と個数を結びつけることが苦手
✅「5こ取って」と言ってもわからない。
✅ 数えた数字と実際の個数がずれる。
✅ 数字を見てもどれくらいの量なのか分かりにくい。
数字カードの上に同じ数だけ物を置く、サイコロの目と同じ数を取るなど、数字と実際の量を結びつけてみます。
丸が5個でも、ブロックが5個でも、指が5本でも、すべて同じ「5」だということを、頭だけでなく直感的に理解できるよう目や体を通して繰り返し体験していきます。
③ 「何個目」と「何個」が苦手
✅「前から3人目」と「前から3人」が混ざる。
✅ 順番を数えている途中で迷う。
✅「何番目?」という聞き方になると難しくなる。
数は量だけではなく、順序を表すためにも使います。
人形やおもちゃの車などを並べて、「前から2個目はな〜んだ?」「左から3個を発信!」のように、具体物を使いながら遊びを通して違いが理解できるように支援していく必要があります。
④ 多い・少ない、増減が苦手
✅ 数字の大小は答えられるけど実際の数量感覚と結びついていない。
✅ 少し増えたり減ったりしたときに、どちらが多いか分からなくなる。
✅ 数直線や目盛りになると大小関係がつかみにくい。
お菓子、カード、ゲームの得点、お金など、生活の中にある量と結びつけながら感覚を育てます。
「どっちが多そう?」「あといくつ増えたら同じ?」と、日常の些細な場面で予想してから数えるというのも有効な支援方法です。
⑤ 数をまとまりで捉えるのが苦手
✅ 少ない個数でも毎回1から数え直す。
✅ 5個や10個のまとまりを作って考えることが難しい。
✅ 同じ数ずつ増える並びがつかみにくい。
「数のまとまり」と言われても難しいですよね。
例えば8個のおはじきは「1、2、3……」と一つずつ数えるだけでなく、「5個と3個」「4個と4個」と見ることもできます。
8は、●●●●● と ●●●
8は、●●●● と ●●●●
このように「数のまとまり」で捉え、数を1つずつ数え上げなくても把握できる力が、計算や、このあと説明する位取りの土台になります。
支援としては、「5個ずつまとめてみよう」「10個ずつ袋に入れよう」など、数をまとまりとして扱う経験を増やしていくことが効果的です。
⑥ 数を分けたり合わせたりする
✅「5はいくつといくつ?」で迷う。
✅ くり上がり・くり下がりになると急に難しくなる。
✅ 数を別の組み合わせに置き換えることが難しい。
5は「1と4」「2と3」など、いろいろな分け方ができます。
このように、数をまるで粘土のように分解したり合成したりする力が、たし算・ひき算、かけ算・わり算の理解につながります。
問題プリントとして出されると嫌がる場合でも、「合わせて5を作るゲーム」など、遊び方を変えると取り組めることがあります。
⑦ 十の位、百の位などの位取りが苦手
✅「364の100が□こ、10が□こ、1が□こ」のような問題が苦手
✅「537」といった数を「ごさんじゅうななひゃく」のように読んでしまう
✅ 筆算などで0が入った数が登場すると計算で迷う。
例えば364は、100が3個、10が6個、1が4個からできています。このような数の構造を理解できるかが、2桁以上の数の計算では重要になります。
しかし、数字だけで説明してもなかなか理解にはつながりません。
そこで、お金やブロックを使うほか、100・10・1を別々のカードなどで表し、「どんなまとまりでできている数か」を見えるようにすると理解しやすくなります。
⑧ 1万・1億などの大きな数が苦手
✅ 1000までは分かるのに、1万以上の数で混乱する。
✅ 0が増えると数字を読み間違える。
✅ 1万、10万、100万の関係がつながりにくい。
日本の数の数え方は、10ごとに位が一つ上がる十進位取り記数法と共に、「一、十、百、千」の4桁ごとに、「万→億→兆…」と数詞が変わる四桁進法的な数の表し方をしています。
この2つのルールを区別しながら理解することが大きな数の理解では重要になります。
「じゅうまん」の次は「ひゃくまん」、その次は「せんまん」と、大きな数を一桁ずつ暗記するのではなく、「10個集まると一つ上の位になる」という十進位取りの仕組みと、4桁ごとに数詞が変わってまた一十百千と10ずつ位が増えていくことを遊びながら確認します。
⑨ 小数の理解が苦手
✅ 小数点が出た瞬間に別の仕組みに感じる。
✅ 0.1と0.09の大小で迷う。
✅ 10倍・1/10になると小数点の移動だけを暗記している。
整数では1、10、100と10倍ごとに位が上がっていきます。
小数の世界では、反対方向に1、0.1、0.01と1/10倍ごとに位が下がっていくという、同じ十進位取りの仕組みが続いています。
小数だけを新しいルールとして覚えるのではなく、整数から続く「位取りのルール」として理解できているかを確認していくことが重要です。
条件を変えて、反応を見る
数について困っているとき、「何年生の問題ができるか」だけを見る必要はありません。
✅ 数字だけでは分からないけれど、ブロックなら分かる。
✅ 口頭では難しいけれど、カードなら分かる。
✅ プリントは嫌がるけれど、ゲームなら何度も考える。
そんな反応の違いが、次の支援を考えるヒントになります。
同じ課題で道具だけ変える。
同じ数で見せ方だけ変える。
同じ内容を遊びにする。
「この子は算数が苦手だから仕方ない」と捉えるのではなく、
条件を変えながら、その子がどこにつまずいているのか、どんな方法ならそのつまずきを解決できるのかを丁寧に確認していくことが重要です。
生活や遊びの中にも数はある
料理には量があります。
買い物には値段があります。
ゲームには得点があります。
電車には順番があります。
お菓子には個数があります。
勉強そのものに強い抵抗がある場合は、最初から「算数を教えよう」としなくても構いません。
好きなことの中にある数を一緒に楽しむことから、数字と実際の量がつながっていくこともあります。
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まとめ
「数の感覚が弱い」という言葉だけでは、何に困っているかは分かりません。
数字の読み、個数、順序、大小、まとまり、合成・分解、位取り。
一つずつ見ていくと、「ここまでは分かっている」という場所が見つかります。
そこを足場にして、道具、見せ方、遊び方などを少しずつ変えてみてください。
算数全体のつまずきから確認したい場合は、こちらも参考にしてください。

なかッち|中道 貴洋
デキルバ主宰。夢中力クリエイター
塾講師、小学校教員、児童指導員を経て現在に至る。著書『苦手さのある子も夢中になる算数遊び&教材アイデア』『苦手さのある子も夢中になる国語遊び&教材アイデア』、寄稿『授業力&学級経営力2024年3月号』『特別支援教育の実践情報2025年5月号』、他講演多数。
