子どもの不登校が続くと、「学校で培われるはずの社会性が育たないのではないか」と焦る保護者は少なくありません。
またそのような心無い言葉をネットで目にした方もいらっしゃるでしょう。
そんな悩みを解決しようとネットで調べても「早期からのSST(ソーシャルスキルトレーニング)が大切!」としか書かれていない事が多いんですよね。
しかし、SSTは専門家による構造化された訓練プログラムですので、専門の療育機関に行けない状況だと打つ手なしじゃないかと思ってしまいます。
今回はそうした状況の中、自宅でもできることがあるのではないかと実践をしておられるさつまいもさんの体験談をご紹介します。

デキルバメンバーのさつまいもです。小三の長男と、年長の双子がおり、三人とも毎日家で過ごしています。
教科書を読み、問題を解くスタイルの「勉強」に取り組めない長男が、どうすれば少しでも学んで成長していけるか、悩んでいる時にデキルバを知り、入会しました。よろしくお願いします。
不登校のどうにもできない焦り…
学校では先生や友人との会話、時には衝突を通じて社会性を身につけます。
しかし不登校になると、家族以外との関わりは極端に減少し、家庭内でのやり取りだけが日常となってしまいます。
自宅では思い通りにならないと癇癪を起こすことが増え、放課後等デイサービスにも通えない現状に「このままでよいのか」という焦りと不安が募っていました。
◆ 構造化された訓練プログラム
専門家のもと、グループでのロールプレイやモデル提示、フィードバックを通じて対人スキルを学ぶのが狭義のSSTです。セッションを通じて本人の生きやすさに繋げていきます。
◆ 家庭や地域での「一般化」が重要
そこで習得したスキルを、学校や職場、家庭など日常生活のあらゆる場面で使えるようにすることを「一般化」と呼びます。訓練室だけで終わらせず、日々のやり取りを実践の場として積極的に活用することで子どもの社会性を育みます。こうした日常生活場面での学習も広い意味でのSSTとなります。
今回のさつまいもさんの体験談は後者に重点を置いた話です💡
日常のやり取りが家庭でのSSTになる
ある日、デキルバのzoom相談で次のように尋ねました。
「計算もやりたいし、読解力もつけたいし、やらなきゃいけないことがたくさんありますけど、何を最優先したらいいですか?」
すると、なかッち先生からは
「まずはお母さまのメンタルケアが最優先ですよ」
との助言をいただきました。
続けて「私が好きなことをして楽しむことを大事にしたほうがいい」という話をしている中で、ふと思いました。
「おたがいに心地よく過ごせるよう、自分の思いを伝えて相手のことも気遣う。それって、まさに家庭でできるSSTじゃないんだろうか」
相談前は「子どもに社会性を教えなきゃ」「困りそうな場面での対応を練習させなきゃ」と身構えていたけれど、実は日常のささいなやりとりを大事にしていくことで自然と育まれていく部分もたくさんあるのではないかと気づいたのです。
親自身のセルフケアとコミュニケーションが重要
本人の情緒が不安定なこともあり、基本的には本人の気持ちを受け止めるよう心がけています。
でも、癇癪が起きないように気を遣いすぎるのも、やっぱりよくない。
親と子は別の人間。
親だって、嫌なことは嫌だし、楽しいことをして生きていい。
一方的な話をずっと聞いていたら、しんどくなるし、癇癪をぶつけられると、正直つらくなります。
だから最近は、
「今はしんどくて聞けないから、あとにしてくれない?」
「そんなふうに言われたらお母さんだって嫌な気分になるよ」
と、私も自分の気持ちを言葉にするようにしました。
それは、子どもの気持ちを軽んじているわけではないと思います。
「お母さんにも気持ちがあるんだよ」
「あなたの気持ちも大事だけど、私の気持ちも、同じように大事にしてほしい」
——そんな、もうひとつの大事なメッセージを伝えたいのです。
相手を思いながら、自分の気持ちもちゃんと伝えること。
それができると、おたがいにとって心地よく、安心できる関係につながっていきます。
もちろん、専門家のもとで療育が受けられるならそれに越したことはありませんが、受けることができなくても、日々の生活そのものがSSTの場になるのだなと思いました。
こうした関わりは、今の親子関係が心地良くなるだけでなく、きっと他の人と関わるときにも生きてくるはずです。
子どもが大切な人と出会った時、その人と良い関係を築いていける。
そんな力を、家で過ごす日々の中で育てていけたらと思っています。
日々の実践ポイント
byなかッち
- まずは短い言葉でOK
- 「ありがとう」
- 「ごめんね」
- 「今ちょっとしんどい」
そうした日常の些細な瞬間に起きる一言を大切に。
- 感情を共有する
自分の「楽しい」「つらい」という気持ちを率直に伝えることで、子どもも自分の感情を表現しやすくなると思いますし、伝え方の見本にもなると思います。 - クールダウンの余裕
話していて感情のボルテージが上がりそうなときは、「お茶でも飲んであとで話そう」と時間をおくことでお互いに冷静さを取り戻せますし、クールダウンの練習にもなると思います。

家庭内だけでは気づきにくい課題や、保護者さんの焦り・不安の正体を掴むためにも、デキルバのzoom相談など第三者のサポートをぜひご活用ください。専門家からの具体的なアドバイスや、同じ悩みを抱える保護者同士の意見交換があると、冒頭のさつまいもさんのような「どうすればいいのかわからない…」という状態が少しずつ改善していきます✨
まずは「何から話せばいいかわからない…」という状態でも大歓迎です・:*+.\(( °ω° ))/.:+
僕があれこれヒアリングしていくので、どうすれば今の状況が少しでも良くなっていくのか一緒に考えていきましょう✨
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