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子どもは「文系?理系?」~日本の独特な子どもの分け方~後編

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教え子との記憶

僕の教え子で、イラストを描くことが好きな中学生の子がいました。

暇さえあれば、授業中だろうが何だろうが、キャラクターやモンスターのイラストを描いて過ごしていたような子です。

ただ、この子は字の読み書きもほとんどできないし、小1の算数も全く解けないような学力でした。

これまで何人もの先生が、あの手この手で勉強させようとしましたが、全く取り組めなかった子です。

「好きなことばっかりして!怠けてる!!」と怒られたり

「障害があるからできなくても仕方ないよね」と放置されたり

そんな環境で過ごしてきた子でした。

教え子を変えたひとこと

その子に僕は一つだけ質問しました。

それは…

「このキャラの必殺技は何?」

このたった一つの質問が、彼の人生を変えました。

彼は必殺技を考えた事がなかったし、キャラクターの名前も考えてなかったんです。

だって字の読み書きができませんから。

そこから2人で漫画を読んで、

どんな必殺技があるかリサーチしたり、

漢字カードを組み合わせてオリジナルの必殺技を作る遊びをしたり、

キャラ図鑑や武器図鑑を作って説明文を書いたりする活動を広げていきました。

「必殺技のダメージってどれぐらい?じゃあHPはこんなぐらいかな?」

数の計算をしながら徐々に算数的思考力も身につけていきました。

オリジナルのカードゲームを作り、何百バトルもやって、ダメージの計算をしました。

その間、全く勉強させられている意識はなく、どれも夢中で取り組んでいました。

そして1年がたったころ、図鑑だけじゃなく漫画も描いてみたいという想いが芽生え、ついに自分から辞書や本を買ってきて、夢中で漫画を描き始めたのです。

・人物の気持ちってどんな言葉で表現しよう?

・こんな時って何てセリフになるかな?

・ここの描き方がわからない……そうだ技術書を読もう!

そんな事を考えながら「夢中」になって漫画を描いていく事で、その子の世界がどんどん広がっていき、同級生や先生にも伝わるようになっていきました。

彼のその後…

その子は今、公立高校に進学し、苦戦しながらも授業についていきながら、

放課後には大好きな漫画クラブで漫画を描いています。

その子は、今まで怠けていたのではありません。障害のせいで何も理解できなかった訳でもありません。

ただ、興味の持てないものに対しては、脳の特性で人の何十倍ものストレスが発生するし、脳が活発化しないので記憶にも残らなかったのです。

僕がした事は、その子の興味を出発点にした学びの組み立て、

そして「夢中になれるきっかけ作り」をしただけです。

夢中になったからこそ、自分でどんどん学んでいき、「漫画」という軸から漢字の知識、国語の表現、数の表し方、数値の計算と知識を獲得していく事ができたのです。

その子は、文系でも理系でもありません。強いて言うなら「漫画家になる」という夢に向かって突き進んでる夢中系です。

その夢が叶うのか?

漫画家になってご飯を食べていけるのか?

親なら誰しもが思うそうした心配事は、実はあまり重要ではありません。

なぜなら「夢中で究めようとした」という経験は、生涯なくならずにその子を支え続けるからです。

成功の源は「夢中力」

「年収1000万円のトップ営業マンだった人が、ITに転職して年収300万になったけど、すぐに1000万を超える報酬を手にいれられるようになった」

皆さんも一度はこんな話を聞いたことがあるのではないでしょうか?

これは転職サイトの誇大広告でも、不思議な話でも何でもありません。

トップ営業マンになるほど夢中で物事に取り組む経験、そこで得た知識や技術はその人の中で残り続けます。

その財産を持って、新たな事にチャレンジするので、これまでに得た知識や技術と組み合わせて、人の何倍ものスピードで結果を出すこともできるし、何よりも「自分を夢中にする方法」を知っているので、苦労を苦労と思わずに邁進する事ができるのです。

プロのスポーツ選手で、全く別ジャンルに挑戦しても成功する人が多いのは、この「夢中力」を備えている人が多いからです。

子どもの学びの傾向を見る際には

「計算が苦手そうだから文系」

「国語の問題が嫌いだから理系」

という考え方をせず

この子は何に夢中になるだろう?

という視点を持つことが大事です。

そうする事で、文系理系といったラベルに騙されず、本当にその子に適した学びの形を見つける事ができます。

遊びを通して、夢中になる体験を積み重ね、子どもの「夢中力」を育てていきましょう❗️❗️

これからも一緒に、子どもが楽しく学べる環境をつくっていきましょう🚀✨

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